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無機塗料の特徴やメリットは?有機塗料との違いやメーカーの代表的な塗料も
耐用年数20年以上という圧倒的な耐久性を持つ「無機塗料」をご存じでしょうか。
耐候性に優れ、今ある塗料の中で最長の耐用年数を誇る塗料として注目を浴びています。
塗料の耐用年数の長さは価格に比例するため、無機塗料も事実、お高めです。
しかし、圧倒的な耐用年数により塗り替え回数を減らせるので、実はコストパフォーマンスにとても優れた塗料なのです。
- ・無機塗料に興味があるけれど価格が高いから失敗したくない
- ・無機塗料でおすすめのメーカーや製品はどれ?
- ・うちの外壁塗装も無機塗料でするべき?
とお悩みの方に、無機塗料が長持ちする秘密とメリットから、無機塗料を選ぶ時の際の注意点、おすすめ製品など、無機塗料の全てをご紹介いたします。
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
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動画で見たいという方は是非ご覧ください!
おおよそ「10年に1度」行わなければならないと言われている外壁塗装。
手間も費用も掛かりますから、できるだけその回数を少なくしたいと思う方は多いのではないでしょうか。
目安としてウレタン8年、シリコン10年、フッ素15年という塗り替え目安がありましたが、最近は耐用年数20年超という無機塗料が存在し、製品にもよりますが寿命は30年に迫るといわれています。
「無機」を簡潔に言えば「炭素を含まない」ということです。
有機塗料に分類されるウレタン塗料やシリコン塗料の樹脂には有機物が使われていて、炭素同士と他の樹脂成分が結びつきあって塗膜を形成しています。
この炭素は極めて他の物質と結びつきやすいのですが、同時に結びつきが壊れやすいという特徴もあります。
それに対し、無機は炭素を持たないので他の物質と結びつきにくく、壊れやすさを心配する必要もありません。
この特性により、無機物であるガラスは雨や紫外線の影響を受けたとしても劣化・腐食が発生しないのです。
身の回りのものでは陶磁器や粘土瓦が無機物にあたります。
食器などの陶磁器は劣化しませんし、粘土瓦の耐用年数も50年以上、現役の世界最古の瓦は1400年以上前のものと言われています。
無機物を主成分とした樹脂を使用しているのが「無機塗料」
無機塗料は無機物を主成分とした樹脂によって塗膜を形成するため、非常に強い耐候性・低汚染性を誇ります。
外壁に塗装された塗料は常日頃から雨風と日光(紫外線)を受けていますよね。
無機塗料と有機塗料では自然環境への耐久性が根本から違うため、外壁へ使用した際の耐用年数に大きな差が生まれるのです。
無機の耐用年数の長さ
無機塗料の耐用年数は20年~25年程度とされており、製品の中には期待耐用年数を25年~28年としているものもあります。
これは外壁塗装において最もスタンダードな種類とされているシリコン塗料の約10年~13年と比較してみると、非常に長い耐用年数であることがわかります。
窯業系サイディングや金属サイディング、モルタル外壁に塗られた塗料が劣化してしまう原因のほとんどは紫外線や加水による分解、つまりは化学変化です。
強風によって土や砂埃が外壁に当たることで物理的な傷もつきますが、それで致命的な変化を起こすには相当な年月が必要になります。
基本的に塗膜を傷めるのは、太陽光や雨といった自然要因が大部分を占めているのです。
これまで人類はさまざまな体験をしてきました。
太古から雨や風、そして長期の使用に耐えうる建物の構築にも挑んできました。
その中の経験則で長年の使用に耐えられると判明したものが、無機である粘土から作られた瓦やレンガです。
そういった無機物が樹脂成分の主体となっているため、無機塗料は長寿命を誇るのです。
塗料別耐用年数のグラフ
※アクリル塗料が「アクリル」、「特殊アクリル」、「100%アクリル」と分かれるようにフッ素塗料も「3F(3フッ化フッ素)」と「4F(フッ化フッ素)」に分類され、4Fは20年に迫る耐用年数があると言われている。
耐候性が高くいつまでも綺麗を保てる
無機物とは、有機物を含まない物質のことを指し、鉱石やガラスなどが代表として挙げられます。
例えば、自然界の石は紫外線や雨風に長年さらされてもボロボロになったり腐食したりすることはないですよね。
そんな無機物を使った無機塗料は紫外線での劣化が少なく、これまでの塗料よりもはるかに耐候性が高いのです。
日本ペイントが行った促進耐候性試験実験(人口太陽光による実験)では、3000時間で95%以上という同社の他の塗料よりも圧倒的に高い光沢保持率が記録されています。
【キセノランプ式による促進耐候性試験での3000時間はどれくらい?】
300時間を屋外での1年間と計算
▼
3000時間は10年間の屋外使用に相当
※上記の数値は実測値であり、性能を保証するものではございません。
屋外で10年間に相当する時間が経過した場合、無機塗料とそれ以外の塗料で光沢保持率に大きく差が開いていることが分かりますね。
親水性が高く汚れにくい
親水性とは、水との相性の良さを示します。
親水性が高い塗料は水とよく馴染み、雨で汚れやホコリなどを浮き上がらせて洗い流せます。
そのため、汚れが塗膜の表面に定着しにくいのです。
苔や藻・カビが生えにくい
外壁に根を張る苔や藻・カビは、外壁の見栄えを悪くするだけでなく劣化を促進させる厄介な存在です。無機塗料なら栄養源となる有機物の含有が少ないため、苔やカビが生えにくいのも綺麗が長持ちする要因のひとつです。
塗膜が硬く塗装できないところもある
無機塗料は、無機の性質からその他の塗料に比べて塗膜が硬い傾向にあります。
下地が割れやすい・地震などで動きが大きかったりする場合には耐用年数を待たずにひび割れが頻発する恐れがあります。
特に木部には向いていないことが多く、塗装をしても塗膜ごと割れてしまう可能性が高いです。
しかし、柔軟性のある成分を混ぜることで弾性をもった無機塗料も多くあります。
職人の腕
無機塗料は一般的な塗料に比べると硬くて伸びにくい性質をしているので、それを扱う塗装職人の腕が試されます。
せっかくの無機塗料でも、慣れない職人が塗装したおかげで機能が十分に発揮されないのでは残念ですよね。
依頼する業者のこれまでの施工実績等も確認しておくと安心です。
実は、無機塗料だからといって100%無機物によって作られているわけではないのです。
鉱物などを原料とする無機だけでは塗料が硬くなりすぎてしまうので、塗布できるものを作るためには多少なりとも有機物を含有させる必要があります。
そのため「どのくらい有機物が含まれているか」「どんな有機物が含まれているか」によって、同じ「無機塗料」と呼ばれるものでも性質や耐用年数は変わってくるのです。
無機成分の配合率が高いものでも低いものでも無機塗料として扱われています。
「塗装業者からすすめられた塗料がご自身の希望に合っているものか?」
と、ご不安であれば塗料メーカーのWEBサイトなどで説明を読んで確認してみましょう。
大手塗料メーカーと言われるところから販売されているものであればそれほど心配はいらないでしょう。
悪徳業者にも注意!
これを利用し普通の塗料を無機塗料と偽る業者がいます
とても有能な無機成分。実はほとんどの塗料に含まれていることをご存知でしょうか。ほとんどの塗料に含まれるといっても樹脂膜の成分としてではなく、顔料、つまり色の成分として使用されています。
白の代表的な顔料は金属のチタンで、こちらも無機物にあたります。顔料のチタンは「チタン白」と呼ばれ、こちらは発色をよくするためにほとんどの色の塗料に使われています。また、亜鉛、鉛、鉄、銅、クロムといった無機顔料が塗料に配合されることもあります。
「実は弊社オリジナルの塗料にも無機成分が使われていますから、大変お得ですよ」なんてことを言う業者もいます。確かに無機成分が顔料として使われているのでしょうが、それが耐用年数に貢献するわけではありません。調子のいいことを言う業者には気をつけましょう。
無機塗料と同じように、有機塗料にもまた優れたポイントや欠点が存在しています。
無機を使用するか、それともシリコンやフッ素系塗料を選ぶかの判断をするために、有機塗料のメリット・デメリットを簡潔にご紹介いたします。
有機塗料のメリット
塗膜がひび割れにくい
塗膜が硬い無機塗料と比べ、有機塗料の塗膜は柔軟性が高い傾向にあります。
そのため、密着している外壁材の揺れや伸縮時の動きに追従しやすく、有機塗料の塗膜がひび割れるリスクは低いと言えるのです。
塗膜のひび割れは外壁の防水性に深く関わる問題です。
無機塗料は非常に耐久性が高い反面、塗装面を保護する塗膜は硬く、外壁の動きによってひび割れやすいという特徴があります。
ですが、無機塗料にも柔軟性(弾性)を持たせた商品は各メーカーが既に展開しているため、塗装する外壁材の性質によってはあまり気にする差ではないでしょう。
選びやすい価格のものが多い
有機塗料で最も安価な「アクリル塗料」であれば㎡あたりの価格は1000円程度であり、逆に耐久性の高い「フッ素塗料」は無機塗料に並ぶような5000円クラスの価格の製品が存在しています。
耐久性や機能によって価格の振れ幅が大きい有機塗料ではありますが、希望する塗料の性能と費用のバランスを見て選ぶことができる点は非常に強いメリットとなっています。
有機塗料のデメリット
紫外線によって劣化が進みやすい
有機塗料の弱点は、やはり紫外線による劣化です。
有機物を主成分とする塗膜は紫外線を吸収することで劣化していきますが、それは外壁に塗られている以上は仕方のないこととも受け取れます。
しかし、紫外線の影響をかなり抑えられる無機塗料の存在がある以上、劣化の進みやすさによる耐用年数の差はどうしても劣るポイントとなるでしょう。
無機塗料は他と比べて高価な塗料です。
ご予算と合わずに悩んでしまうケースも多いでしょう。
無機塗料と他の塗料との価格相場を比較すると・・・
塗料の種類 | 耐用年数 | ㎡単価 |
アクリル塗料 | 5~8年程度 | 1,000 ~ 1,500円/㎡ |
ウレタン塗料 | 7~10年程度 | 1,800 ~ 2,500円/㎡ |
シリコン塗料 | 10~13年程度 | 2,500 ~ 3,500円/㎡ |
フッ素系塗料 | 15~20年程度 | 3,500 ~ 5,000円/㎡ |
無機塗料 | 20~25年程度 | 4,000 ~ 5,000円/㎡ |
平米単価では、コストパフォーマンスが良いと言われるシリコン塗料の2倍ほどになることもあります。
しかし、耐用年数もシリコン塗料の約2倍あることに注目してください。
外壁塗装に掛かる金額は塗料の代金だけではありません。
足場の仮設費用なども高額ですから、これらのコストを減らせることを考えれば初期費用は高いものの、次の塗り替えまでの期間が長く取れるのでお得とも捉えることができます。
「でもそれって、高い無機塗料で工事を契約するためのセールストークでは?」と思いませんか?
筆者は提案を受ける立場だと、思わずそう勘ぐってしまいます・・・
そこで!30年間のメンテナンスを想定した外壁塗装のコストを、アクリル・ウレタン・シリコン・無機塗料で比較してみましょう。
30年間でかかる塗料別塗り替え回数と料金比較(総2階25坪の場合)
一度の費用で比較すると最も高額な無機塗料だが
トータル費用と一年当りの費用に換算すると最もお得となる
塗料 | 30年での回数 | 合計費用 | 一年当りの費用 |
アクリル | 4回 | 約207.7万円 | 約6.5万円 |
ウレタン | 3回 | 約165.6万円 | 約5.5万円 |
シリコン | 3回 | 約179.4万円 | 約4.6万円 |
無機塗料 | 2回 | 約159.6万円 | 約4万円 |
無機塗料はこんな方におすすめ
無機塗料は価格こそ高いですが、その分長い耐用年数を期待できる塗料です。
☑ 長く綺麗を維持しメンテナンス回数を減らせるなら費用をかけても良い
☑ 現在のお住まいをこの先も20年以上維持していく予定
このような方はぜひ無機塗料での外壁塗装をご検討ください。
無機塗料というと馴染みがないかもしれませんが、実は数多くのメーカーがラインナップしています。
やはり、どれも耐用年数は長く、ほとんどのメーカーで20年以上となっています。
日本ペイント アプラウドシェラスターⅡ
日本ペイントといえば、どの種類においても代表的となる塗料を販売しているような安心感のある超大手メーカーです。
当然、無機塗料においても「まずはこれ」と言えるような種類を代表する商品を展開しています。
そのうちの一つ、「アプラウドシェラスターⅡ」のメーカーが想定している耐用年数は20年以上。
親水性を持つ塗膜がいつまでも建物の綺麗を持続させてくれます。
有機塗料の高弾性と無機塗料の高耐久性を合わせ持つ塗膜を形成してくれる優れた特性から、大切な外壁を長く保護してくれることが期待できます。
さらに低汚染を求める方へは、上塗り後に使用する無機系超低汚染コーティング材「クリスタコート」も用意されています。
日本ペイント パーフェクトセラミックトップG
人気のパーフェクトシリーズの最高峰塗料である「パーフェクトセラミックトップG」。
本来は固い塗膜の無機塗料を有機物でのセラミックハイブリッド化によって微弾性にし、塗膜が硬くてひび割れやすいという弱点を対策している点が優秀です。
パーフェクトシリーズならお馴染みの、紫外線による劣化を防ぐラジカル制御技術ももちろん備わっています。
関西ペイント アレスダイナミックMUKI
関西ペイントも有名な塗料メーカーです。
「アレスダイナミックMUKI」は有機塗料のトップであるフッ素と無機を組み合わせ、さらにラジカル抑制技術、親水性による低汚染といった最近のトレンドをすべて盛り込んだ贅沢仕様となっています。
メーカーが想定している耐久年数は20年以上です。
エスケー化研 エスケープレミアム無機
創業から60年以上が経つエスケー化研が得意としているのは、汚れのつきにくさを示す「超低汚染技術」です。
そんなエスケー化研より販売されている無機塗料が「エスケープレミアム無機」。
降雨によって汚れを洗い落とす「親水性」、静電気を帯びにくくすることよってガスなどの汚れの付着を避ける「低帯電性」、そして汚れを寄せ付けない塗膜表面の高い「架橋密度」の3本柱から成る超低汚染技術によって、エスケープレミアム無機は汚れに強い無機塗料となっているのです。
シーカ・ジャパン スーパーセランシリーズ
期待耐用年数を「25~28年」としている唯一のメーカー(製品による)がシーカ・ジャパンです。
メーカー紹介によると、スーパーセランシリーズは塗装後25年~30年が経過しても光沢保持率が80%を下回らないという高耐久な塗料です。
溶剤や水性などさまざまな製品が存在するので、建物や環境に合わせて選ぶことができます。
- ・弱溶剤1液型のスーパーセランマイルド(期待耐用年数25~28年)
- ・水性塗料のスーパーセランアクア(期待耐用年数25~28年)
- ・屋根も外壁も塗れる遮熱塗料スーパーセランIR(期待耐用年数20年以上)
- ・スーパーセランに柔軟性を持たせたスーパーセランフレックス(期待耐用年数24~26年以上)
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無機塗料は、他の塗料と比べて長い20年以上の耐用年数が期待できる
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値段は高いが圧倒的な耐用年数から考えるとコストパフォーマンスは高い
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無機塗料は耐候性が高いだけでなく、汚れにくく苔やカビも生えにくいので長くきれいを保てる
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無機塗料が長持ちなのは炭素を含まない無機成分が配合されているから
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現在、無機塗料と呼ばれているものは完全な無機ではなく、無機と有機を組み合わせたハイブリッド塗料、配合率や特徴に注意
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シリコン塗料などにも顔料として無機成分が使われているので、適当なことをいう業者には要注意
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価格が高くても外壁塗装の効果を長く維持したい方に無機塗料はおすすめ